作品リスト
ロビー
0-1
釉裏金彩牡丹唐草瑞鳥文皿
高10.0 口径55.0 底径28.5 2015年
吉兆をあらわす「瑞鳥」と、幸福や富貴を象徴し「瑞花」とされる牡丹の紋様が厚箔により表現される。六弁の稜花を分割し、淡い萌黄色の釉薬で濃淡をつけた放射状の背景と散る金砂が瑞鳥に躍動感を与えている。箔で牡丹や羽根の丸爪の先端まで切り出し、顔や羽毛などの表情を針彫で繊細なまでに描く。裏面も加飾され、細部まで技巧が冴える。
織作峰子「𠮷田美統ポートレイト」本金箔平押 参考 織作峰子&箔フォトグラフィ🄬
重要無形文化財「釉裏金彩」保持者 認定書
織作峰子「薔薇。SAUBI」本金箔平押
第1室
織作峰子「妹背。MEOTO」本金箔平押 福井県南越前町にて
1-1
釉裏金彩蓮花文飾皿
高4.5 口径30.5 底径6.5
萌黄地に箔で蓮を描く。花の表情は針彫、葉の葉脈は金描で補われ、花と葉の箔の厚さを異にして表現。水面に浮かぶ子葉に差す光までもが表れている。裏面には色絵で蓮が添えられる。
1-2
釉裏金彩桜花文陶額
縦23.0 横30.5 厚0.6 2015年
うららかな陽光射す、たおやかな景色。日本がアジア初の開催国となったラグビーワールドカップ2019。日本文化を世界の人々と共有できるようにとの願いから、この桜の図柄が大会メダルに採用された。
福田平八郎「曙」紙本著色 本陣コレクション
1-3
釉裏金彩鉄線文飾皿
高9.1 口径50.5 底径29.0 2001年
六輪花の皿。背景色に近い色のストライプを放射状に施し、淡い萌黄のグラデーションをかけた背景。異なる厚みの箔を用いた具象的な鉄線を、花唐草文のように扱う。中心の泉に葉が映り、蝶が舞う。裏面にも同様に放射状のストライプを持つ背景を施し、3カ所に花を配する。
第2室
川端龍子「牡丹」 紙本著色 本陣コレクション
2-1
釉裏金彩牡丹唐草文花瓶
高40.0 口径12.2 底径14.5 胴径24.0 2007年
黄色のストライプを器形にあわせて施し、黄色から萌黄色へのグラデーションを背景とする。口縁部、下部から鋸歯文形かつランダムな長さの箔をその線に沿って貼り込む。葉がベルのような釣鐘状となり、花芯が網掛けに点描で表現されたフラットな調子の大胆な牡丹唐草を纏う。裏に記された「美統」名に編みがけの枠がつく。
2-2
釉裏金彩牡丹唐草文花瓶
高21.5 口径6.0 底径7.5 胴径14.5 2021年
深みのある高貴な赤に紋様化した大輪の牡丹をあしらう。花芯は金彩の点描で描かれる。
2-3
釉裏金彩花唐草文壷
高31.4 口径11.7 底径12.2 胴径22.5
優雅な紫地の双耳壺。花芯は点描、葉は巻き込みも持つデザイン化された花唐草文をあしらう。
2-4
釉裏金彩牡丹唐草文陶筥
高10.5 奥行29.5 幅31.0 1996年
エメラルドグリーンにドットを加えた背景。厚箔にゆらぎのない針彫が施される。葉に特有の渦巻きを付加し、デザイン化された牡丹唐草文。花芯は金彩の点描で表現される。蓋身の内側には染付の花唐草をあしらう。青味がかった萌黄には花萌黄という呼称がある。華やかな中に初々しさをも感じさせる。
2-5
釉裏金彩牡丹唐草文水指
高17.5 口径15.8 底径14.5 胴径16.1
エメラルドグリーンの背景。背景、文様ともに、光沢を消し、均質な印象にまとめている。葉に特有の渦巻きを付加し、デザイン化された牡丹唐草文。花芯は金彩の点描、厚箔に針彫が施される。端正ないでたちのなかに抑えた華やかさが芳ばしい。
第3室
織作峰子「光運。KOUN」本金箔平押 福島県郡山市にて
3-1
釉裏金彩芙蓉文鉢
高11.5 口径49.5 底径12.7 2001年 小松市立博物館蔵
第48回日本伝統工芸展/第37回人間国宝新作展 重要無形文化財を保持する人々
予め黄色で放射状のストライプを施した上から、口縁部より黄色から淡い萌黄色へのグラデーションを施した背景。厚箔で表された芙蓉の花が、薄箔の葉の中に咲き誇る。葉を表す薄箔の一様ではない厚みと重なり、手打ちならではの個性ある箔の表情と透かし見える背景のグラデーションが紗合せのように複雑な陰影を表現する。中心の萌黄色を残すように配し、深部の静謐な空間へと誘う。裏面には紺青色を背景に、芙蓉の大輪が四枝あしらわれる。
3-2
釉裏金彩木槿文皿
高9.0 口径49.5 底径17.5 1986年
第33回日本伝統工芸展
紫地が、手打ちならではの箔の濃淡ある表情を引き出し、薄箔の重なりや、葉脈をよりはっきりと映し出している。具象的な表現への挑戦が結実している。薄箔の透け感がかえって濃い緑を想起させる。裏面には4カ所に小さな花束をあしらう。
3-3
釉裏金彩大山蓮華文鉢
高11.5 口径50.3 底径16.8 小松市蔵
落ち着いた紫を背景に、薄箔の葉に厚箔の花が咲き誇る。異なる箔厚による遠近感と、金描や針彫の技法に加え、均一ではない手打ちならではの縁付金箔の個性が、紫の背景の中でひときわ豊かな表情の源泉となっている。花々の間に鳥が遊び全体に動きが感じられる。
3-4
釉裏金彩大山蓮花文鉢
高11.8 口径50.0 底径13.5 2000年 石川県立美術館蔵
第47回日本伝統工芸展 日本工芸会保持者賞
萌黄釉を放射状のストライプに塗り焼成。さらに全体に同色の釉薬をかけて焼成した背景の地模様。鳥の視線とストライプの背景が奥行きを醸し出している。
第4室
織作峰子「零れぬ雫。」プラチナ箔 福井県南越前町にて
4-1
釉裏金彩草文鉢
高13.2 口径45.5 底径15.8 1974年
第21回日本伝統工芸展 初入選作
伝統工芸展初入選作。直線的ない草に球形の花部を散らし、極薄い箔による陽炎のようにトンボが舞う水辺の風景。厚みの異なる箔をカッターとパンチングで切り出した釉裏金彩初期の優品。背景色は力強く萌え出た若草のような緑色。裏は、天と地を表すかのように濃淡の幅が大きく、三つ巴にデザイン化されたい草をあしらう。
「紋様がまだまだ幼稚で直線的です。運良く入選することができましたが、地色に引いた釉の緑もきつくて、もうちょっと色を工夫したらどうかなど、いろいろ指導を受けました」
4-2
釉裏金彩切箔線文鉢
高10.5 口径51.5 底径9.2 1977年
黄色と萌黄でつくられた八角形の背景に、面と線、2種類の正方形を交互に配置。箔の色味が同化した明るい黄色の頂点から中央の萌黄への調和を試みた幾何学的な作品。類似作「釉裏金彩八角鉢」に寄せて「焼きものの中での金箔の取り扱い方のむづかしさを感じております。今度も又、厚箔、薄箔を切り幾何文様を試みてみました
(『第4回石川県工芸作家選抜美術展』1979)と述べている。
4-3
釉裏金彩切箔小紋花瓶
高47.5 口径9.3 底径12.5 胴径29.5 1985年
第13回中日国際陶芸展 奨励賞
萌黄色の背景に、曲面に合わせてラインの太さを伸縮させるため、大小形状を異にした厚箔薄箔の菱形を並べる。箔のさらに上から黒で菱形状、アーガイル柄に線を書き込む。結果、斜め螺旋状に箔をめぐらしたかのような効果が得られている。「釉薬の下に輝く金箔の美しさに魅せられて、毎年釉裏金彩の作品ととりくんでいます。今回は厚箔と薄箔で小紋調を試みてみました」(類似作「釉裏金彩切箔小紋花瓶」に寄せて『第8回石川県工芸作家選抜美術展』1983)。
織作峰子「袍袴。」本金箔平押 石川県金沢市にて
第5室
5-1
釉裏金彩牡丹唐草文鉢
高10.5 口径51.5 底径17.2 1989年 石川県立美術館蔵
第12回伝統九谷焼工芸展 優秀賞
七弁の輪花皿。紺青色の放射状のストライプを伴う背景に、紋様化された牡丹唐草。花芯は金彩の点描で表現される。
5-2
釉裏金彩牡丹文飾皿
高9.3 口径49.3×49.0 底径25.2 2017年 国立工芸館蔵
九角皿に、72本の放射状のストライプが映える。厚箔に細部針描きした花弁に、花芯を書き添えた花と、薄箔に金描で葉脈を加えた葉の重なりが立体感を与えている。所々に垣間見える背景が金色の輝きに深みを加える。
5-3
釉裏金彩牡丹唐草文鉢
高16.5 口径40.0 底径17.6 2003年
黄色の放射状のストライプを地に施し、背景を黄色の口縁から萌黄色の底部へと優雅に変化。大胆な牡丹唐草をまとわせ、花芯は金彩の点描。裏面も放射状のストライプを伴う牡丹唐草が全周する。
5-4
釉裏金彩花唐草文花器
高36.5 口径15.2 底径7.8 2019年
口縁に稜花、その稜線が底部にまで縦に延びる。緑色の濃淡でのストライプを加えた地に、しっとりとした箔で可憐な牡丹唐草文をあしらう。大輪の牡丹に加え蕾や葉の表現が愛らしい。花芯には金彩の点描を施す。
5-5
釉裏金彩牡丹唐草瑞鳥文平鉢
高10.0 口径52.0 底径25.5 2010年 小松市立博物館蔵
大ぶりの瑞花の奥に睦まじく舞う瑞鳥。裏面にも3カ所に牡丹唐草文があしらわれる。72本の放射状のストライプが中心部で強調され、背景による奥行きを生み出している。瑞鳥がまとう金砂の効果が高揚感を与えている。
引き続き、錦窯展示館もどうぞ。𠮷田美統、中田一於、𠮷田幸央、二代松本佐吉、織作峰子作品ほか展示中。
こまつミュージアム・パス利用可(宮本三郎美術館も)。